2011年02月25日
トマトチーズ湯豆腐鍋 久保田万太郎を偲ぶ

湯豆腐は、一般には鍋に昆布を敷き、水を張った中に一口大に切った豆腐を入れ、温まったところを引き揚げてつけダレで食べます。あまり長く煮ず、豆腐がぐらりと動いた程度で食べるのがよいとされています。京都では、湯豆腐も高級料理のひとつ。

このような我が家での人気トマトチーズ鍋では豆腐の本来のうまみがイタリアン風になってしまい邪道です。

「湯豆腐やいのちのはてのうすあかり」は湯豆腐を詠んだ名句で久保田 万太郎(1889年11月7日 - 1963年5月6日)の作品です。久保田万太郎は東京生まれの小説家、劇作家、俳人で、大変な美食家でした。1963年、梅原龍三郎邸にて設けられた宴席で赤貝のにぎり寿司を勧められたようです。久保田は日頃より噛みにくい赤貝は口にしなかったのですが、気を遣い断らずに赤貝を口に入れたそうです。そして、誤嚥性による窒息となり5月6日に母校の慶應病院で死を迎えました。誤嚥というのは食道に入るべき消化物や唾液が誤って気道に入ることです。噛みにくいものは、飲むときに気をつけましょう。
「豆腐の角に頭をぶつけて死ね」と言う言葉がありますね。粋(いき)や粋狂を理解できない唐変木(とうへんぼく=ヤボな人間)や馬鹿者は、どうせこんな冗談もわからないだろうから、本当に豆腐で死のうとするだろう、と愚鈍な者や無粋な者を嘲(あざけ)って言う言葉だそうです。「うどんで首吊って死ね」という慣用句もあります。こんなことを言われても、気を遣って本当にやってみないようにしてください。
タグ :湯豆腐